亀山郁夫批判

最先端=亀山郁夫の『これからどうする』(1)

(この章は昨二〇一三年十一月十八日に書き上げていたものです) 岩波書店刊『これからどうする』(二〇一三年六月刊)収録の最先端=亀山郁夫のあまりに稚拙で愚劣な文章と、現ロシア文学会会長=沼野充義のあまりに狡猾な文章を批判します。ふたりの文章は…

「勇気や信念」としか、いまのところいいえないもの(4)

(この章は昨二〇一三年十一月十三日に書き上げていたものです) さて、この文章の表題にもした「勇気や信念」という言葉ですが、これはジム・キャリー主演、フランク・ダラボン監督の『マジェスティック』という映画の日本語字幕「勇気と信念(信念と、信念…

「勇気や信念」としか、いまのところいいえないもの(3)

(この章は昨二〇一三年十一月十三日に書き上げていたものです)********** この後、私は右に絡めて、昨二〇一二年九月に出版された『構造災』(松本三和夫 岩波新書)から長々と引用しているんですが、あまりに長すぎるので、多くをカットします…

「勇気や信念」としか、いまのところいいえないもの(2)

(この章は昨二〇一三年十一月十三日に書き上げていたものです) ここで、書きあげられなかった文章をいくらか修正しながら引用します。次の通りです。 ********** いや、以前にくらべると、この一連の文章に手をつけないでいる日がかなり増えまし…

「勇気や信念」としか、いまのところいいえないもの(1)

(この章は昨二〇一三年十一月十三日に書き上げていたものです) 二〇一〇年十一月の『「自尊心の病に憑かれた」読者にアリョーシャは見えない』から、まるまる三年間も私はこの最先端=亀山郁夫批判の文章をほとんど公開してきませんでしたが、公開しないだ…

この三年半ほどの間に書いた文章の公開を始めます

この次に公開する文章(昨二〇一三年十一月記)の冒頭はこうです。 二〇一〇年十一月の『「自尊心の病に憑かれた」読者にアリョーシャは見えない』から、まるまる三年間も私はこの最先端=亀山郁夫批判の文章をほとんど公開してきませんでしたが、公開しない…

今が旬! 亀山郁夫訳『罪と罰』店頭用パネル

全国の書店にこんなパネルが! 並ぶといいなあ。 画像をクリックしてもらって、さらに「オリジナルサイズを表示」をクリックしてもらえば、詳細を見ることができます。A4サイズを上回ってしまったので、画像がふたつに分かれました。すみません。 いよいよ…

「マイ古典をつくろう!」 ── 齋藤孝『古典力』

二〇一二年十月二十日、私の勤める書店に岩波新書の新刊が入荷しました。そのうちの一点が齋藤孝による『古典力』で、書棚をバックに著者の笑顔のカラー写真を使った帯には「マイ古典をつくろう!」とあります。この本はいわゆる「古典」といわれる名作の読…

「とつぜん甲高い銃声が聞えてきた」

二〇一二年八月二十五日、私の勤める書店にも最先端=亀山郁夫著『謎とき『悪霊』』の配本がありました。一冊だけ。ということは、大した刷り部数じゃありません(そのまま絶版となりますように! いやいや、回収してくれ!)。その一冊を私が買いました。ま…

「自尊心の病に憑かれた」読者にアリョーシャは見えない(7)

さらにもうひとつ。 「それとそっくり同じことを、と言ってももうだいぶ前の話ですが、ある医者がわたしに語ってくれたものです」長老が言った。「もう年配の、文句なしに頭のいい人でしたがの。あなたと同じくらい率直に話してくれましたよ。もっとも、冗談…

「自尊心の病に憑かれた」読者にアリョーシャは見えない(6)

アリョーシャがどうやって自己に淫しているひとびとに接するのか? あたかも彼らが自己に淫していないかのように接します。彼は、彼らから、自己に淫していない彼ら自身を引き出します。彼は、自己に淫して苦しんでいた彼らがその苦しみを脱するとき、あたか…

「自尊心の病に憑かれた」読者にアリョーシャは見えない(5)

ちょっと前に引用した最先端=亀山郁夫の文章に、これがありました。 あらためて繰り返すことになるが、「第一の小説」においてアリョーシャは、必ずしも主人公と呼ぶことができるほど活躍しておらず、一種のトリックスター的な役割に甘んじている。その彼が…

「自尊心の病に憑かれた」読者にアリョーシャは見えない(4)

もうちょっとわかりやすいように、ここで私は「自尊心の病に憑かれた」ひとたちのことを強調してみます。「自尊心の病」の重症・軽症の程度は、彼らがどれほど自己にしがみついているか、どれほど自己にインしているかということでも測れるでしょう。「イン…

「自尊心の病に憑かれた」読者にアリョーシャは見えない(3)

小説『カラマーゾフの兄弟』において描かれているのは、人間が神の存在なしには生きていけないということです。人間は自分たちだけでなどやっていけません。神の存在を認める認めない、あるいは、神の創ったこの世界を認める認めないなどということの決定権…

「自尊心の病に憑かれた」読者にアリョーシャは見えない(2)

いってみたいことはいくつもあるんですが、アリョーシャが見えない読者、「自尊心の病に憑かれた」読者は、たとえばゾシマ長老に過剰な期待を寄せるんです。最先端=亀山郁夫の繰り返す文句「聖性」などがその典型です。ゾシマに「聖性」があったり、彼が「…

「自尊心の病に憑かれた」読者にアリョーシャは見えない(1)

萩原俊治氏の「こころなきみにも」における最先端=亀山郁夫批判をずっと ── 何度も、繰り返し ── 読んでいますが、最近までどうしてもわからないことがありました。 ドストエフスキーの読者には自明の事柄だが、ドストエフスキーの作品のプロット(諸事実の…

「些細なことながら、このようなニュアンスの違いの積み重ねによって読者は、少しずつ、しかし確実に原典から遠ざけられて行く。」

驚いたんですが、いま「google」で「亀山郁夫」と入力して検索すると、トップに表示されるのはこういうサイト群なんですね。 ○亀山郁夫 ── Wikipedia ○亀山郁夫とは ── はてなキーワード ○亀山郁夫の傲慢 ── こころなきみにも(萩原俊治) ○連絡船 ── 亀山郁…

「些細なことながら、このようなニュアンスの違いの積み重ねによって読者は、少しずつ、しかし確実に原典から遠ざけられて行く。」

六月からずっと停滞しているこの最先端=亀山郁夫批判ですが、いま、昨年に書いた『カラマーゾフの兄弟』についての文章のつづきに手をつけようとしながら、その前に予定外の文章を書きつつあるのに、ここでまたさらに予定外の一文を書かなければならなくな…

「些細なことながら、このようなニュアンスの違いの積み重ねによって読者は、少しずつ、しかし確実に原典から遠ざけられて行く。」

たまたま読んだ文章ですが、とても興味深い内容だったので、紹介しておきます。杉山茂樹による「W杯日本代表は正々堂々と全敗せよ」(「Voice」二〇一〇年七月号 PHP研究所) http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100611-00000001-voice-po…

「些細なことながら、このようなニュアンスの違いの積み重ねによって読者は、少しずつ、しかし確実に原典から遠ざけられて行く。」

私がブログ「連絡船」上に「翻訳の問題 ── 『赤と黒』、『カラマーゾフの兄弟』」という文章を公開したのが二〇〇八年六月十九日でした。で、その次の文章 ── 七月十三日公開 ── からはもう最先端=亀山郁夫の翻訳を具体的に批判したんですね。つまり、私が…

「些細なことながら、このようなニュアンスの違いの積み重ねによって読者は、少しずつ、しかし確実に原典から遠ざけられて行く。」

最先端=亀山郁夫の仕事がいかにひどいかを知っている者にとって、朝日新聞・近藤康太郎による「【カラマーゾフの兄弟】視界開けた、古典は新しい」(二〇一〇年六月十三日)ほど愚劣で悲惨な記事はありません。記事が誤訳問題にまったく触れないでいたなら…

「些細なことながら、このようなニュアンスの違いの積み重ねによって読者は、少しずつ、しかし確実に原典から遠ざけられて行く。」

東京書籍とのやりとりはとんだ寄り道でした。思い出しましたが、私は「現代思想」四月号増刊「総特集=ドストエフスキー」における最先端=亀山郁夫訳「チーホンの庵室で」のひどさを指摘していたんでしたっけ。 しかし、もう少しだけ寄り道をしておきましょ…

昨日の今日ですが、数時間前、私が自分の勤めている書店で二日分 ── 私は昨日休みだったので ── の伝票整理をしていましたら、そのなかに、次に引用する一枚の紙が綴じられていました。どうやら、これは昨日届いていたようなんです。昨日、私が出勤して、こ…

『10代をよりよく生きる読書案内 海外編』をめぐって東京書籍とやりとりをしているうちに、ほぼふた月が過ぎてしまいました。最後に私からメールを送ってからも、すでにひと月。とはいえ、すでに「やりとり」は途絶えているでしょう。東京書籍からは「回収」…

東京書籍からメールが来ました。 木下和郎様謹啓メールのご返信が遅くなりましたこと、お詫び申し上げます。木下様からご指摘いただきました点につきまして、編集委員会で充分吟味いたしました。吟味の結果、一部事実誤認があることを確認いたしました。また…

東京書籍からメールが来ました。 文中に「四月十三日付のメール」とあるのは、前回の文章(四月十二日)を私が夜中に書き、日付が変わってから送信したためです。 木下和郎様謹啓四月十三日付のメールの返信をいただきありがとうございました。今回の件では…

東京書籍にメールを送りました。 おさらいですが、まず、問題のこやま峰子の文章を再掲しておきます。 ●清らかな魂の天使はいずこ 一八六〇年代のロシアの地方都市に暮らす父親フョードルは財を築き、美女・グルーシェニカと酒に溺れて暮らしている。長男ド…

東京書籍から返信がありました。 木下和郎様謹啓この度は、『10代をよりよく生きる読書案内 海外編』をお読みいただき、ありがとうございました。また、何度かお問合せをいただいたということで、たいへん失礼いたしました。弊社の一般書お問合せ窓口は下記…

東京書籍の『10代をよりよく生きる読書案内 海外編』の編集者と電話で話をしました。先の記事を書いた夜、翌朝、また夜に、と私は東京書籍のホームページ上にある「お問い合わせ」から何度もメールを送信しようとしたのですが、いずれもエラーが出てしまっ…

東京書籍という出版社があります。小学校・中学校・高等学校の教科書を作っている会社です。ホームページ、教科書に関してはこちら(http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/kyozai2008/menu.html)。 教科書以外にも本を出しています。「東書アクティブ・キッズ」…