2008-12-01から1ヶ月間の記事一覧

(一七)「些細なことながら、このようなニュアンスの違いの積み重ねによって読者は、少しずつ、しかし確実に原典から遠ざけられて行く。」その九

4 さらにつづけます。 ここで何よりも注目したいのは、イワンとスメルジャコフがめざしたのが完全犯罪であり、イワンに対しては未必の故意の嫌疑がかけられうるという事実です。十九世紀後半のロシアの裁判ないし陪審制という観念のなかで、未必の故意がど…