2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「些細なことながら、このようなニュアンスの違いの積み重ねによって読者は、少しずつ、しかし確実に原典から遠ざけられて行く。」その一六

5-(9) 私はいっておきますが、テレヴィだとかラジオだとか新聞だとか雑誌だとか、そんなものをあんまり無条件に ── 「権威」として ── ありがたがるのはもうやめましょうよ。これを私がいいます。まさかこの人生で自分がテレヴィだとかラジオだとか新聞…

「些細なことながら、このようなニュアンスの違いの積み重ねによって読者は、少しずつ、しかし確実に原典から遠ざけられて行く。」その一六

5-(8) さて、「ある空漠たる恐怖に捕えられ」 ── です。 私はここで大西巨人の『神聖喜劇』から長い引用をします。その前にちょっとだけ説明(そしてまた引用)しておきますが、この作品の主人公=語り手である東堂太郎は、軍隊の初年兵教育のはじめに経…

「些細なことながら、このようなニュアンスの違いの積み重ねによって読者は、少しずつ、しかし確実に原典から遠ざけられて行く。」その一六

5-(7) しかし、その「引用」──「ある空漠たる恐怖に捕えられ」── の前に佐藤優。彼の最近の発言(二〇〇九年十月刊)から。 亀山郁夫氏の訳は、従来の訳に較べ、格段と正確でかつ読みやすい。実は神を信じていないドストエフスキーの本心が透けて見える…

「些細なことながら、このようなニュアンスの違いの積み重ねによって読者は、少しずつ、しかし確実に原典から遠ざけられて行く。」その一六

5-(6) こう考えてくると、そんな哀れな最先端よりもずっと罪深いひとたちがいることがわかりますよね。つまり、たとえば、NHKであり、東京外国語大学であり、村上春樹です。その他にもたくさんなんですが、きりがない。 で、NHK。そのなかに、もう…

「些細なことながら、このようなニュアンスの違いの積み重ねによって読者は、少しずつ、しかし確実に原典から遠ざけられて行く。」その一六

5-(5) 最先端=亀山郁夫批判の難しさというのは、こういうことです。まず、『カラマーゾフの兄弟』という小説(最先端=亀山郁夫訳以外。なぜなら最先端=亀山郁夫訳は偽物だから)を読んだことのあるひとが非常に少ない。しかも、そのひとたちの大半は…

「些細なことながら、このようなニュアンスの違いの積み重ねによって読者は、少しずつ、しかし確実に原典から遠ざけられて行く。」その一六

5-(4) 私の停滞のせいで、もうすでに古い話題としか受け止めてもらえないかもしれないんですが、しばらく前からネット上では話題になっていた ── 「アニリール・セルカン経歴詐称、業績捏造の追求 blog」(http://blog.goo.ne.jp/11jigen/e/51dea8f84d63…

「些細なことながら、このようなニュアンスの違いの積み重ねによって読者は、少しずつ、しかし確実に原典から遠ざけられて行く。」その一六

5-(3) おさらいします。 私がこの一連の記述を通して批判しているのは ── 一 亀山郁夫自身 二 亀山郁夫と仕事をした編集者たち 三 その編集者たちを抱える出版社・放送局 四 書評、インタヴュー等で亀山郁夫を称揚するひとたち 五 そうした書評、インタ…

「些細なことながら、このようなニュアンスの違いの積み重ねによって読者は、少しずつ、しかし確実に原典から遠ざけられて行く。」その一六

5-(2) 大西巨人の作品から引用。 その夜そのあとの雑談の中で、また義人は、「各人の弱みや卑劣さをたがいに薄ぎたなくいたわり合って衆を恃むような消極的連帯」ではなく、「ひとりですっと立ってゆ」く各人の積極的連帯が出来上がらなければならない、…

「些細なことながら、このようなニュアンスの違いの積み重ねによって読者は、少しずつ、しかし確実に原典から遠ざけられて行く。」その一六

5-(1) たまたま最近になって、これを読みました。中央公論新社のホームページです。 中公文庫『文学的パリガイド』お詫びと訂正中公文庫『文学的パリガイド』(二〇〇九年七月二十五日刊行)のなかで、以下の誤りがありました。読者の皆様にご迷惑をおか…

大西巨人『天路の奈落』加筆修正版

大西巨人のサイト「巨人館」にて『天路の奈落』の加筆修正版が公開されつつあります。 http://www.asahi-net.or.jp/~hh5y-szk/onishi/tenro.htm 本篇は、1984年10月20日に講談社から刊行された大西巨人著『天路の奈落』に著者が加筆修正を施したものです。 …

今日も今日とて

今日も今日とて万引きした三十男 ── こいつは先週先々週とコミックを何十冊も取っていったやつ ── をふたりがかりで取り押さえようとして途中で断念。通行人が多く、そのひとたちまでが怪我をしそうだったからです。私の眼鏡はいつのまにか吹っ飛んでおり、…

文書ファイルが壊れました。

私が亀山郁夫批判を書きつづけている文書ファイルがどうやら壊れてしまい、いま書いている分も、それ以前の分も、これから復旧作業にかからなくてはならなくなりました。とはいえ、文章自体は(ネット上にも)残っていますので、それについては問題ありませ…

Lili(「リリー」)

『カラマーゾフの兄弟』や『悪霊』や『罪と罰』をしっかり読み込んだひとには、この映画がどんなに素晴らしいかがわかります。むろん、そうでないひとにもわかります。それでも、ドストエフスキーを経たひととそうでないひととでは違いがあるかもしれません…

Powaqqatsi

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もうちょっとです。

最先端=亀山郁夫批判「些細なことながら、このようなニュアンスの違いの積み重ねによって読者は、少しずつ、しかし確実に原典から遠ざけられて行く。」その一六を「4」まで公開して、だいぶ時間がたってしまいました。ようやく「5」を書き終えることがで…