2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『トニオ・クレーガー』

(トーマス・マン 野島正城訳 講談社文庫)(五) いや、ここまででも十分に長いと思っていたんですが、自分でもあきれたことにまだつづけます。しかし、これから私がこのホームページで企てる「読書案内」のどの文章もがこんなふうに長いもののはずはありま…

『トニオ・クレーガー』

(トーマス・マン 野島正城訳 講談社文庫)(四) ここまでのところで、私自身の文章をまったく意に介さずに、単に私の引用した箇所だけでこの作品を読もうと思ってくれるひとのいることを私は願いもします。そうであるべきなんですよ。なにしろすでに作品の…

『トニオ・クレーガー』

(トーマス・マン 野島正城 訳 講談社文庫)(二) 私自身の経験でいうと、私はまずこの『トニオ・クレーガー』を高校のはじめくらい(もしかしたら中学の終わりかもしれません)で読むのじゃなかった、といまは思うんです。といってもしかたのないことなん…

『トニオ・クレーガー』

(トーマス・マン 野島正城訳 講談社文庫)(一) まず私はこういうことをお断わりしておかなくてはなりません。私はこの作品を、おそらく十四歳か十五歳で読んで以来今日まで──二十五年以上が経過しています──、作品のある箇所だけ・ある部分だけという読書…