2006-01-01から1年間の記事一覧

(九)「作品にすらなっていない」もの ある作品を「よい」と評価するひとは、必ずそうでない作品を知っています。そのひとは作品を評価するなにがしかの基準をもっています。それで、その基準が埒外にはじき出すものが必ずあります。ここでの「そうでない作…

(八)「読書案内」の方法 それで、こんなに長々と前置きをすることになるとは思っていなかったんですが、これから私がやろうとしている「読書案内」の方法について簡単にいっておこうと思います。 具体的に作品名をあげて ── 辻邦生『夏の砦』(文春文庫)─…

(七)これは退却戦か? これは退却戦か? という疑問も当然予想されます。わかりません、と私は答えるしかありません。わかりません、わかりません、わかりません、というのが、私の主題のひとつでもあるでしょう。 トーマス・マンをちょっと引用してみます…

(六)書店員による「手書きPOP」 どれだけのひとがそう思っているかわかりませんが、本の売りかた(書店のする・出版社のする・取次のする)ということで「『白い犬とワルツを』以降」といういいかたができるのじゃないか、と私は危惧します。あれ以降、…

(五)広告も誇らしげな「一〇〇万部突破!」を歓迎できるか? 私は以前、雑誌「文藝」(二〇〇四年秋号 河出書房新社)にこう書きました。 そもそも私がPOPを書きはじめたのは、ベストセラーを中心とした本の読まれかたへの反感もあってのことだった(に…

(四)新刊・ベストセラー、宣伝、書店員…… 反復しつつ(たぶん私はいつも同じことしかいわないだろうと思います)ゆっくりと進んでいくつもりです。 先に私はこう書きました。「新刊やベストセラーを中心に採りあげることはしません。新しかろうが古かろう…

(三)短く簡潔な文章・「速読」・「多読」のばからしさ それで、この「読書案内」の文章は、こういう内容の一般的なものに較べるとかなりの長文になることもいっておきます。しばしば私の文章は長すぎる(ついでにいえば「説教くさい」)と批判を浴びるんで…

(二)「読書案内」をする 数か月以内に立ち上げるつもりのホームページをいま制作中なんですが、その中心となるのが「読書案内」になります。つまり、私の紹介する作品を誰かに読んでもらうためのものです。(そのホームページへの原稿をまずはこのブログに…

私は、奥底の自己が『おれの個性が消えてなくなってたまるか、消えてなくなりはしないぞ。』と力んでいるのに気づき、愕然として不愉快になった。もしも今日より私が、このような理念に従って生きて行なって動くことを欲するとすれば、世界現実にたいする過…

(〇)

さて、これから私はこの数か月間に書いてきた文章(この数年に考えてきた・書いてきたものをあらためてまとめた文章)を分載して公開することにします。つまり、これは通常のブログでの日記形式(書かれたものをその日のうちに公開する)を無視して、この場…