2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

(一二)「何を読んだらいいかわからない」などと思ったことは一度もない いま考えているのは、ひとつには作品ごとの「読書案内」ですが、もうひとつ、べつの、ある意味身辺雑記ふうの文章のなかに「読書案内」を織り込む形です。この両面からホームページを…

(一一)どんな立場であろうが、いうべきことはいわなくてはならない それにしても、こうやって書き手や読み手のレヴェルの低さをいいつづけてきた私に向けての、「そういうことはいうものじゃない、そういうことをいうのは下品だ、賢明なひとはそういうこと…

(一〇)作品は読者のためにあるのではない 少し前に私は『夏の砦』(辻邦生)を例にあげながら、こういいました。「こういう描写のある作品ならば、当然本も厚くなるでしょうし、ページも文字で埋め尽くされたようなものになるでしょう」。 もう一度その「…

(九)「作品にすらなっていない」もの ある作品を「よい」と評価するひとは、必ずそうでない作品を知っています。そのひとは作品を評価するなにがしかの基準をもっています。それで、その基準が埒外にはじき出すものが必ずあります。ここでの「そうでない作…

(八)「読書案内」の方法 それで、こんなに長々と前置きをすることになるとは思っていなかったんですが、これから私がやろうとしている「読書案内」の方法について簡単にいっておこうと思います。 具体的に作品名をあげて ── 辻邦生『夏の砦』(文春文庫)─…

(七)これは退却戦か? これは退却戦か? という疑問も当然予想されます。わかりません、と私は答えるしかありません。わかりません、わかりません、わかりません、というのが、私の主題のひとつでもあるでしょう。 トーマス・マンをちょっと引用してみます…

(六)書店員による「手書きPOP」 どれだけのひとがそう思っているかわかりませんが、本の売りかた(書店のする・出版社のする・取次のする)ということで「『白い犬とワルツを』以降」といういいかたができるのじゃないか、と私は危惧します。あれ以降、…

(五)広告も誇らしげな「一〇〇万部突破!」を歓迎できるか? 私は以前、雑誌「文藝」(二〇〇四年秋号 河出書房新社)にこう書きました。 そもそも私がPOPを書きはじめたのは、ベストセラーを中心とした本の読まれかたへの反感もあってのことだった(に…