2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

(四)マーラー『交響曲第七番』

私がここしばらく繰り返し聴いているのが、マーラーの交響曲第七番の第三・第四・第五楽章(バーンスタインの指揮によるニューヨーク・フィルの演奏、一九八五年録音)── つまりは、この二枚組CDの二枚目 ── なんですが、およそ三十五年間聴きつづけている…

(三)辻邦生『春の戴冠』

この四月より、辻邦生の『春の戴冠』が中央公論新社から四巻の文庫版で出版されます。初の文庫化です。この作品は、まず、一九七七年に新潮社から上下二冊(函入り・本にはパラフィン紙の巻かれている)の単行本で、その後、一九九三年に岩波書店の「辻邦生…

NHK ETV特集「神聖喜劇ふたたび」

前の記事にコメントをいただいたので、簡単ではありますが、もうすこし書いてみます。 私があの番組に不満を感じるのは、たとえば、「東堂太郎=大西巨人」という図式に乗っかって、『神聖喜劇』を大西巨人の体験記ででもあるかのように扱ったことです。 ま…

NHK ETV特集「神聖喜劇ふたたび」

NHK「ETV特集 神聖喜劇ふたたび」の録画 ── 私は放送時間には職場にいましたから ── をいま観終えたところです。 懸念したとおり、ナレーションでも大西巨人の生年と年齢が間違っていました。繰り返しますが、彼は一九一九年八月生まれで、現在八十八…

NHK ETV特集「神聖喜劇ふたたび」

先日ここで書いた四月十三日放映のNHK「ETV特集」について、たとえば「Yahoo!テレビGガイド」には現在こういう紹介文が掲載されています。おそらく、この文章はNHKが原稿を書いて、様々のテレビガイドに提出しているはずだと思うんですが、…

(二)「ナゼナラ、オレハ自分ガソウイウコトヲスル人間ダト、コレマデ思ッテミタコトモナイカラ!」

二十五歳(一九八八年)で、私は最初の ── 二年間勤めた ── 就職先を辞めたんでした。当時、私がしきりに読み返していた文章は次の通りです。ちょっと解説しておきますと、語り手は父親になったばかりの男 ── 以前にプルトニウム被曝を経験しています ── で…