2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『初めて人を殺す』

(井上俊夫 岩波現代文庫)(三) 私のこの紹介のしかたに問題があるというのは、いろんな要素をごっちゃにしてしまっているということなんですね。井上さんの文章がそのようにたくさんの要素を含み込んでいるわけです。 そのたくさんの要素のうちのひとつを…

『初めて人を殺す』

(井上俊夫 岩波現代文庫)(二) 私はいま自分のしゃべりかたがまちがっているのじゃないかと危惧しています。しかし、このままつづけましょう。「刺突」という訓練が強制的に行われたということ。それは、ごくふつうのひとが──戦闘でもないのに──木にくく…

『初めて人を殺す』

(井上俊夫 岩波現代文庫)(一) この本のことは以前(二〇〇五年二月)に、私の勤める書店のホームページで紹介したことがあります。その文章で私は、一月十日に『神聖喜劇』大西巨人)を読み終えたことを書いています。さらに、翌十一日に講談社文芸文庫…

『蟻の兵隊』

『蟻の兵隊』ちょっと例外的な書きかたをします。それというのも、すでにこの映画が公開されていて、いつまでこれがつづくのかわからないので、とにかく、できるだけ多くのひとがその期間内に観ることを望むからです。 これはとにかく観てください。http://w…

『黄金の眼に映るもの』

(カースン・マッカラーズ 田辺五十鈴訳 講談社文庫) 作者にはカーソン・マッカラーズという表記(カースンではなく)もありますね。その方が一般的なんでしょうか。 マッカラーズを読むのはこれが二作めで、最初に私は『心は孤独な狩人』(河野一郎訳 新潮…